それに合わせて記事を修正しました。
京王が2018年春に京王ライナー(有料の座席指定列車)を導入する理由は?
これまで京王では座席指定列車は運行されておらず、特急といっても通常の通勤型車両で追加料金なく乗れるものです。京王ライナーの運転開始は2018年春ですが、京王はなぜこのタイミングで座席指定列車を導入するのでしょうか。
長期的な沿線価値の向上と、競合路線の動きへの対応という2つの理由がありそうです。
魅力的で選ばれる路線を目指す
日本全体では人口が減少する傾向にありますが、首都圏はいまのところまだ人口が増加しています。とはいえ団塊の世代が引退したり、都心回帰の傾向が出てきたりと、利用者が増える見込みはあまりありません。
将来的に首都圏でも人口が減少するようになれば、郊外私鉄の経営にとっては大きな影響を与えることになります。
確かに郊外から通勤する人は減るかもしれませんが、まったくいなくなるわけではありません。
都心よりも快適な環境を求めて引っ越しをするときにどの沿線に住もうかと考えるわけですが、その際に選ばれる路線であるためには通勤時の快適性が大きな要素となってきています。
必ず座れる列車を運転することで、快適に通勤できるとアピールできるわけです。
時代とともにスピードではなく快適さに競争のポイントが変わってきたのですね。
画像:京王電鉄 |
小田急の複々線完成への対応も
京王がこのタイミングで有料の座席指定列車を導入する理由には、小田急の複々線完成もあるのでしょう。京王と小田急は、多摩ニュータウンと新宿および都心を結ぶという意味で競合関係にあります。
小田急は2018年春に下北沢駅付近の複々線工事を完成する予定で、完成後は列車を増発できるようになります。
小田急にはロマンスカーという強力な有料列車専用車両があります。
いまのところ具体的な発表はありませんが、複々線の完成を機に多摩線にロマンスカーを再度運転する可能性もあります。
京王は調布駅を地下化した後の2013年2月に相模原線の優等列車を特急・準特急中心に変更ました。
朝のラッシュ時間帯以外では、頻度とスピードで小田急に圧勝している状況です。
多摩線の唐木田行きロマンスカーの利用がふるわなかったのか、2016年3月で小田急は運転をやめてしまいました。
小田急は2016年3月に多摩線の急行を日中は20分間隔にしました(それまでは30分間隔)が、朝や夜の通勤時間帯には本数が少なめですし、千代田線とその周辺に通勤する人でないとメリットが出にくい状況です。
とはいえ複々線の完成を機に小田急がロマンスカーの運転を再開し、着席通勤をアピールすると、京王にとってはかなりの脅威となります。
朝の上りの所要時間は小田急がさらに早くなる見込みですし、夜間の下りで着席できるとなれば、京王も安泰ではありません。
朝ラッシュ時の所要時間短縮は笹塚〜つつじヶ丘の連続立体交差事業完成を待つしかありませんが、帰宅時の着席列車は車両の導入で実現できます。
京王相模原線の利用者をつなぎとめておくためにも、100億円の投資に踏み切ったのでしょう。
中央線のグリーン車導入も影響か?
相模原線方面では小田急が競合ですが、京王線方面ではJR中央線が競合です。新宿〜八王子間の所要時間競争ではJRの中央特快が優位になっています。
京王は特急の停車駅が年々増えていて、所要時間競争には距離を置いて、京王線沿線の需要を取り込む方向になっています。
ですが、中央線にグリーン車の導入が発表されましたので、快適性という点では京王線も安泰ではなくなってきました。
2015年の発表時には2020年度にグリーン車を導入する予定でしたが、数年程度の延期が発表されています。
京王の座席指定列車導入の発表は2016年3月でしたので、八王子方面でも着席ニーズに対応する必要があるとの判断があったのでしょう。
新5000系は質感が高い
新5000系はロマンスカーを意識していることもあるのか、座席がしっかりとした作りになっている印象です。車内は質感が高い仕上がりになっていて、全体の印象はかなり落ち着いた雰囲気になっています。
こうした車両は通勤列車の延長線上になってしまい、単に座席が転換できる程度の中途半端な作りになってしまいがちです。
新5000系のベースは通勤列車なので、さすがにロマンスカーにはかなわないものの、JRのグリーン車よりは快適でしょう。
座り心地も快適さをかなり重視しています。
単にクロスシートに転換できるだけではなく、幅も広くとっていてゆったりとしています。
ぜひ新5000系に座って快適に移動したいですね。
今日もあなたの快適な旅を応援しています!