京王 新5000系はなぜクロスシート対応なの?

有料の座席指定列車の名称が「京王ライナー」に決まりました。
それに合わせて記事を修正しました。

新5000系は座席指定列車向けに製造

9月29日にデビューした新5000系は、2018年春に運行開始予定の京王ライナー(有料の座席指定列車)向けに製造されました。
そのため進行方向向きのクロスシートと、通常の通勤列車に窓を背にして横に並ぶロングシートの両方に対応した座席になっています。
有料列車用に専用のクロスシート車両を用意してもよいのですが、どうしてこのような車両を導入するのでしょうか。



有料列車にはクロスシート

有料列車ではさすがに一般の通勤列車のようロングシートというわけにもいかないので、快適に座れるクロスシートを導入することになります。
本来なら小田急ロマンスカーのように有料列車専用の車両を導入できればよいのですが、鉄道会社によっては座席確保型の列車を朝から夜まで終日運転するわけではありません。
そうなると有料列車専用の車両は車庫で待機している時間が多くなってしまいます。

京王 新5000系第3編成(手前)と9000系(奥)

京王の有料列車の運転予定は?

京王でもいまのところ有料列車は平日の帰宅時間帯の下り(京王八王子・橋本)方向のみの運転の予定です。
そうなると、有料列車用の車両を運転できる時間が少なくなり、稼働率の低い車両を保有することになってしまいます。

稼働率を上げたい

稼働率を上げるためには、有料列車以外の時間帯にも通常列車としても使いたいという事情があるわけです。
そこでクロスシートとロングシートの両方に対応できる車両を導入したわけです。


左がロングシート、右がクロスシート
画像:京王電鉄

そうすることで、ラッシュ時の収容力や通常列車としての利用と、着席保証型列車時の快適性を両立できる車両になります。
有料列車の運転前に始発駅まで回送しなくて済むメリットもありますね。

他の鉄道会社では?

このタイプの車両は他の鉄道会社でも導入されています。

近鉄が1996年にL/Cカーとして導入したのが最初で、その後JRでもわずかですが導入されました。
もっとも近鉄は通常の列車でクロスシート(といってもボックスシートという向かい合わせタイプの固定席です)があったのですが、ラッシュ時の混雑に対応するためにロングシートにできるようにしたので、京王とは経緯が逆です。

最近では首都圏の私鉄でも東武のTJライナーや西武のS-TRAIN向けの車両があります。
これは京王と同じく、一部の時間帯で有料の着席保証型列車として利用し、他の時間帯では通常列車として使うために導入されています。
東武は2008年から、西武は2017年3月から運行を開始しています。S-TRAINは東京メトロや横浜高速鉄道(みなとみらい線)にも直通運転しています。

通常列車のときもぜひ乗りたい

京王の新5000系が使われる有料列車の場合も、最初の停車駅より先は無料で乗れるというコメントもでていました。
有料列車はもちろん、通常列車で運転していて無料で乗れる場合はなんとか座って快適に移動したいですね。


今日もあなたの快適な旅を応援しています!